思考のための杖: 一人称視点による認知症患者の思考支援システム設計における諸問題
今井 克暢 (Katsunobu Imai)
福山大学工学部情報科学科
認知症患者のケアを支援するIT機器が多数提案されているが、医師や介護者が患者に関する情報を得るためのものが多く、情報を本人が利用する前提の機器は少ない。レビー小体型認知症であったとされるカントの時代においても記憶力の低下に対して備忘録が使われている。必要なことは認知変動やエピソード記憶の忘却への対処だが、現代でも本質的には同じ備忘録が使われ続けている。
認知症患者の自立のための機器設計には「一人称視点」をエンジニアが持つ必要がある。例えば、自らが若年性認知症になっても当該システム設計を継続できるようなシステムを設計するという視点である。「思考の杖」とでも呼べるような「自身」の思考過程を支援するシステムを「自ら」準備し、来たるべき認知症に備える必要があり、本質的問題は次の一点、「自ら準備した『杖』を認知症を発症した自分が使う過程で、その杖を誰が何のために準備したかを忘れる時点が来る可能性がある」に集約される。システムはその時点を超えて機能するようにデザインされねばならない。
認知症患者の見当識障害は住居の変更で悪化することが多いが、われわれの観点で言い換えると、認知症の発症前にある種のライフログである 「ナレッジホーム 」とでも言うべきものを準備し、そこから「引っ越さず」に上述の時点を超えて自分のナレッジホームに留まり続けることが見当識障害を回避する方策となる。本研究ではナレッジホームのプロトタイプを示し、いかに上述の時点の到来に備えるか、システムの実現に関連する社会的な問題等も含め、実装を前提にした問題を提起する。
Articles and Slides:
2023/12/02:
数式処理システムとしてだけMathematicaを使うのはもったいない! ノートブック for Wolfram バーチャルコンファレンス Japan 2023
2022/10/23:
認知機能低下を支援するという視点からみたプレゼンテーションツール,
ノートブック
for
みんなの認知症情報学会 第5回年次大会 (CIHCD 2022)
2022/09/03:
認知機能低下を支援するという視点からみたプレゼンテーションツール,
予稿
for
2022 年度電気・情報関係学会北陸支部連合大会
2021/11/20-2021/11/21:
持続的自己説明的実行可能文書について for みんなの認知症情報学会 第4回年次大会 (CIHCD 2021)
2021/09/17:
Mixed Realityヘッドマウントディスプレイを用いた非同期プレゼンテーションツールの作成 (予稿) for 2021年度電気・情報関連学会中国支部連合大会
2021/09/17:
Slides: On sustainable self-explanatory executable document for
IWNC13
2020/02/03:
Slides for a meeting at CiNet
(EN, machine translation)
2019/11/23-2019/11/25:
プレビュースライド,
予稿 for
計測自動制御学会 システム情報部門学術講演会 (SSI 2019)
2019/09/07-2019/09/08:
Poster for
みんなの認知症情報学会 第2回年次大会 (CIHCD 2019)
2019/06/03-2019/06/07:
Slides (EN) for
人工知能学会SIG-NAC特別セッション
(@ UCNC 2019).
2019/03/26:
Slides for a group discussion at Hirosima Univ.
(このスライドの後半に関連事項のサーベイ(over 500 pages)が含まれており、それは3月以降も更新されています。)
2019/02/04:
Slides for a meeting at CiNet. (EN)
2018/05/25:
Slides (EN) for Pre-workshop lectures of IWNC12 at AIU. (EN)
1996/11/27-1996/11/29:
計測自動制御学会 第11回生体生理工学シンポジウム (BPES'96)
スライド,
原稿
Other projects: Refer to my home page or Google Scholar.